2026/10/11 22:02

①ボタン&プロングの成分分析と当時のメッキの再現


今回の狙いは戦前のメッキと戦後の隠蔽性が高いメッキの再現です。


現代の技術を極力排除し、当時のメッキの再現を目指しました。

変色防止処理や酸化防止処理、コーティングの類は一切行っておりません。


よく目にする錫や亜鉛メッキ等のシルバーのボタンと黄変した少し黄がかったボタン(プロングは緑がかった)いぶし銀のような色味の再現と白化を目指しています。鱗のような粉を吹いてくれればとの狙いです。使用していくと白化箇所が剥げて、凹部分のみメッキが残るボタンの再現です。

元ネタは所有する37のボタンです。

古着の多くは使用によりメッキが剥げて下地の鉄が錆びていますが、鉄が露出する前のボタンの再現を目指しました。

放置すればどんどん粉を吹いていきますが、着用していくと何とも言えない深い味が出て来ます。

白い粉をふいたように見える物はカビではありません、メッキ層の白いサビです。



まず最初に37オリジナルボタンの成分分析を行いました。

正確な解析を行うため取り外したボタンとプロングで解析します。外す事によりボタン裏側内部のメッキの剥がれていない箇所の解析が出来るのと生地に着いた状態では精密な解析が出来ません。表裏数箇所メッキ成分と膜厚を測定した結果メッキ成分と処理の詳細が判明しました。いぶし銀の色味は鉄の変色や鉄に含まれる不純物などではありませんでした。当時のメッキの酸化である事がわかりました。

(大戦月桂樹の色味はまた別の理由です。)

上段左 素地
上段右 今回製作したメッキボタン。白化します
下左右 オリジナルフィニッシュのS環とブタ鼻



成分の解析データ:様々な元素が検出されましたがその中からメッキ成分を抽出します

表裏の数箇所を検査して当時のメッキの施工方法を特定して行きます。


当時の技術背景や現在のメッキ処理との差異も詳しく検証して白化や黄変の成分や仕組みも裏付ける結果となりました。


白化と黄変は全く異なるメカニズムである事がわかりました。白化に鉄サビが移って紫外線や皮脂の酸化等で黄色に変色する事もありますが、今回調べて判明した黄変とは別物となります。


書籍やネット等に書かれている成分は検出されず(まさかの0%)、全く別の成分が検出されました。素性の91%が検出されましたので間違いないとの事です。言われている事の大半が推測であり、間違えている事が判明しました。


解析データを元にメッキ工場の技術者にデータと現物を見てもらい現代では使用を制限されている処理もありますが可能な限り当時と同じメッキ処理に近づけております。戦後にメッキ技術も格段に向上したそうですが、その技術が衣類のボタンに採用されるのは私が製作している年代より少し後のようです。

50年代以降に確立された技術や処理は極力排除しております。

現代のメッキと比較すると耐久性は格段に落ちます。

これによりメッキ被膜が鉄より先に酸化します(犠牲防食と言います)。使用を続けると被膜が剥がれ現れた鉄が錆びます。


合わせてプロングの解析も行いましたが、興味深い事にボタンとは別の処理がされておりました。製作工場が別なのか何社か混同していたのかわかりませんが、なぜボタンは黄がかり、プロングは緑がかっているのか?理由はわかりませんが処理そのものが違う事が判明しました。


同仕様の他に当時の銅メッキ仕様も製作しました。(詳細は②で)



⚠️ボタンやプロングの白粉や赤サビが生地に付着する事がありますが、当時の部材を再現する以上は避けられません。返品、交換はお受けできませんのでご理解のほどよろしくお願いします。ご理解頂けない方は絶対にご購入しないようにお願い致します。

生地に付着しない塗装で風合いを再現したボタンを使用したモデルもご用意しております。⚠️